初版発行が2007年。
ネパール政府が、240年続いた王制を廃止して共和制を導入した頃だ。
その当時の作品なので今更感は拭えないが
偶然見たブログに「面白かったぉ」と書かれていたので読んでみた。
水野 敬也 著『LOVE理論』
なお、コミカライズいわゆる漫画化、ドラマ化もされている。
この本、男性向け恋愛理論と銘打っているが
中二もしくは中二病男子らが修学旅行の夜や飲み会でキャッキャする内容。
モテたいのは男性の永遠のテーマとはいえ、
30だの40歳を過ぎてこの本を読んで実践するにはちと厳しい。
なぜか?
この本には、
- うわっつらKINDNESS理論
- 大変じゃない?理論
などの恋愛五大陸理論をはじめ、29の理論が収められている。
確かに、ふむふむと納得できるものが多いし、
取り入れたいものもある。
ただ、理論名からして、明らかにターゲット層が20代以下である。
それに、想像して欲しい。
30過ぎのおっさんらが
「うわっつらKINDNESS理論って知ってる?
女性の求める優しさって、表面上の優しさだぜ」
とか、居酒屋で話をしていると結構うわ・・・ってなる。
20代以下が、全力で読んで実践する本である。
しかしである。
これら理論を恋愛だけに特化させるのは惜しい。
「営業と恋愛は似ている」と言うのであれば
紹介されている理論の多くはビジネスでも使えそうだ。
しかも、内容だけでなく、文章術も秀逸だった。
そういう視点で読めば、
30歳以上が読んでも有益な本だ。
『LOVE理論』は、意外と色々役に立つ!
というのも、単なる読み物として読んだ後
ハッとひらめくものがあり、下記の点に留意して読み直した。
特に、注目は文章術。
それもそのはず、著者はモテ本にありがちなホストとかナンパ師とかそこいらの兄ちゃんが書いたものではない。
『ウケる技術』『夢をかなえるゾウ』の水野敬也さん。
本職が、作家さんだ。
最後まで読ませる心配り、文章術が凄い!
(p.228より)
俺は、この本を作るにあたって、一つの方針を定めた。それは「誰でも楽しく読める本」ということだ。仮に内容がどんだけ優れていようとも、読者であるお前たちに届かなかったら何の意味もない。(略) 本書に出てくる何気ない文章も、その場の思いつきに見えるユーモアであっても、ひとつひとつ丹念に選ばれたものだからだ。
正直、冗談がかなり交じるので
理論も半信半疑というより全疑いで読んでいた。
ただ、このパートを読んで悟った。
疑って読んでいた理論は恐らく使える、
なぜなら、著者の術中にハマってここまで読んだから。
モテるようにならなくとも、
モテ文章は書けるようになりそう。
そう思って読み直すことを決めた。
確かに、読ませる工夫が随所にあった。
冗談や面白エピソードだけではない。
文字の大きさ、太さを変えてみたり、
図や写真を用いたり、まとめのページは横書きにしたり・・・
最近の本にありがちな仕掛けを2007年の時点でやっていた。
さらに、比喩や表現力がすさまじい。
- 夜空に燦燦と光り輝く恋愛シリウス
- ウサイン・ボルトなみのスタートダッシュ
大げさで、ウケ狙いが過ぎるところもあるが、
クスッとする比喩が随所に散りばめられている。
こうした、できることは、やってみる!は、
”今までとは違う方法を以てして恋愛に臨むのだ”
という筆者の恋愛論に通じているのかもしれない。
ビジネスでも使えるLOVE理論
書かれている理論のほとんどは、
恋愛からビジネスに置き換えても成立する。
むしろ、筆者の恋愛の定義がややドライな分、
ビジネスで活用しやすい理論のように思える。
いかがわしい理論が多いなか、
数少ない紹介できそうなさわやかな理論がこちら。
エジソンの ”失敗は存在しない。その方法が違うと分かっただけで、それは成功なのだ” という言葉を用いた「エジソン理論」は、前向きに頑張れる理論。
要約するとこんな感じ。
高嶺の女性と恋愛成就を望むのであれば、
恋愛に絶望する日が必ず来る。
しかし、どんなに絶望しようとも、
必ず何か方法がある。
打ちのめされ、自信を失っても、
新たな方法を模索して、次にぶつけよ、あきらめるな!
というもの。
ビジネスでも使えそうでしょ?
この他にも、応用できそうな理論は多い。
ただ、残念なことに大半の理論が
中二が喜ぶ生々しい表現になっているため
なかなかビジネスに変換しようという気が起こらないかも・・・
あとがき
この本、モテない人が素敵な女性と付合うにはどうすればいいのか?という指南本なので、これを読んだところでモテるようになるわけではない。
しかも、王道の恋愛理論ではなく、
見抜かれたら終わりのゲリラっぽい理論だ。
だからといって、否定的になるつもりはない。
イケメンしか歩めぬ王道なら
我々のようなモテない族はゲリラ屋のやり方で攻める。
言われてみると、もっともな話である。
ただ、書かれているのはゲリラ屋の手法であるが、筆者の”言いたいことを届けようとあらゆる努力をする”あたりは王道に感じる。
恋愛は邪道でも、仕事は王道を歩みたい筆者の願望なのだろうか。
もっとも、上から目線でくるギャグのなかにジンとくるエピソードが入っているあたり、仕事も邪道なのかもしれない。一体、どういう筆者なのだろう?と興味が出てくると、読み始めた頃は、何度も読む本ではないと感じたが、何度も読んでこその本なのかもしれない。
・・・知らんけど。
以上です(`・ω・´)ゞ
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